賃貸物件 “敷金”で注目裁決 「原状回復義務の消滅」

賃貸物件を契約した際に発生する「敷金」。この敷金は返却が前提のため非課税取引になるというのは賃貸物件オーナーにとっての“常識”ですが、当初敷金として受け取っていたものが、その後の契約の変更によっては課税対象になるとした裁決が、国税不服審判所で下されていたことが分かりました。
 審判所に更正請求を行ったのは、賃貸物件のオーナーであるA氏。A氏は賃借人B氏と、①敷金を支払う②賃借人は借りていた部屋の原状回復義務を負う③敷金は原状回復費用などを控除したのち賃借人に返還する――などを定めた契約書を締結していました。
 その後B氏はこの物件からの退去を決定。退去にあたって「合意書」を作成し、①敷金は物件の原状回復費用として充当する②賃借人は原状回復費用として、敷金とは別に追加金を支払う③合意書に定めた事項を除き、一切の債権債務関係がないことを相互に確認する――などを定めました。
 B氏から敷金と追加金を合わせた「合意金」が支払われ、A氏はこれを仮受金としたうえで、消費税は非課税と判断して申告。ところが、国税当局は「合意書により、賃借人は原状回復をしなくてよいという『便益』を享受していることから、合意金は『役務の提供』の対価に該当する。よって、課税資産の譲渡等の対価である」とし、消費税の更正処分を行いました。
 争点となったのは、合意金が消費税の「課税資産の譲渡等の対価」にあたるかどうかの判断です。
 A氏は「合意金は預託されたもので、便益の享受にあたらない。仮に便益の享受とみても合意金は工事の事業者に支払われるべきもので、その対価ではない」と主張。しかし、審判所は「合意金の支払いにより、債務関係が存在しなくなることが合意書で確認されており、原状回復工事を行っても費用を再精算することは予定されていない。よって原状回復義務の消滅という『便益』を受けている」と判断。請求人A氏の訴えを退けました。

<情報提供:エヌピー通信社>

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